こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、マラソンのタイムを伸ばすための筋トレと、その効果について解説していきます。
フルマラソンで、いつも30km以降に失速してしまいます。
走る練習だけでなく、筋トレもした方がいいのでしょうか?
以上のように、マラソンの後半に失速してしまう方のご質問にお答えします。
ランナーにこそ筋トレが必要な理由
「ランナーに筋トレは必要ない」「筋肉がつくと体が重くなる」と考えている方も多いかもしれません。しかし研究では、筋トレを取り入れたランナーの方が、効率よく走れるようになることがわかっています。
ランニングエコノミーが良くなる
ランニングエコノミーとは、同じペースで走るときに、どれだけ少ないエネルギーで走れるかを表す指標です。車でいう「燃費」のようなものです。
長距離ランナー17人を対象にした研究では、週3回・8週間のハーフスクワット(4回×4セット、4回が限界の重さ)を行ったところ、ランニングエコノミーが5.0%向上し、最大スピードで走り続けられる時間が21.3%延びました。
参照 : Støren O, et al. Med Sci Sports Exerc. 2008;40(6):1087-1092. doi:10.1249/MSS.0b013e318168da2f
24の研究をまとめた報告でも、筋トレを取り入れたランナーの多くで、ランニングエコノミーが2〜8%向上していました。
参照 : Blagrove RC, et al. Sports Med. 2018;48(5):1117-1149. doi:10.1007/s40279-017-0835-7
体重は増えない
気になる体重ですが、先ほどの研究では8週間の筋トレで体重は変わりませんでした。24の研究をまとめた報告でも、体組成(体脂肪や筋肉の量)は、ほとんど変わらなかったとされています。
ランナー向けの筋トレは、筋肉を大きくするのではなく、神経と筋肉の連携を良くして、少ない力で効率よく走れるようにすることが目的です。
後半の失速を防ぐ効果も
ランナー18人が8週間の筋トレを行った研究では、10kmのタイムが2.5%向上しました。そして、その向上は主に最後の2,800mでのスピードアップによるものでした。
参照 : Damasceno MV, et al. Eur J Appl Physiol. 2015;115(7):1513-1522. doi:10.1007/s00421-015-3130-z
また、女性アスリート19人を対象にした研究では、週2回・11週間の筋トレによって、1.5時間走った後の全力走のパフォーマンスが4.7%向上しました。疲れた状態でもスピードを保てるようになったということです。
参照 : Vikmoen O, et al. Physiol Rep. 2017;5(5):e13149. doi:10.14814/phy2.13149
筋トレによって疲れにくい筋線維の働きが高まり、筋肉と腱のバネが効率よく使えるようになることが、理由として考えられています。
参照 : Rønnestad BR, Mujika I. Scand J Med Sci Sports. 2014;24(4):603-612. doi:10.1111/sms.12104
ケガの予防にもつながる
25のランダム化比較試験(26,610人)をまとめた分析では、筋トレによってスポーツのケガのリスクが3分の1以下に減ったと報告されています。一方で、ストレッチには明らかな予防効果は見られませんでした。
参照 : Lauersen JB, et al. Br J Sports Med. 2014;48(11):871-877. doi:10.1136/bjsports-2013-092538
ランナーに多い膝の痛みについては、ランニングで膝が痛い原因は?の記事で詳しく解説しています。
どんな筋トレが効果的?
筋トレの方法を比べた分析では、重い重量のトレーニングと、ジャンプ系のトレーニングを組み合わせるのが最も効果的でした。また、ジャンプ系のトレーニングはキロ5分以上のゆっくりしたペースでもランニングエコノミーを改善しており、市民ランナーにも役立つ結果です。
参照 : Llanos-Lagos C, et al. Sports Med. 2024;54(4):895-932. doi:10.1007/s40279-023-01978-y
性別・年齢・レベルに関係なく、筋トレの効果が見られたことも報告されています。
参照 : Llanos-Lagos C, et al. Sports Med. 2024;54(7):1801-1833. doi:10.1007/s40279-024-02018-z
ランナーのための筋トレメニュー(週2回)
最初の2〜3週間は、軽めの重さ(8〜12回×2〜3セット)でフォームを身につけましょう。慣れてきたら、次のメニューに進みます。
メニューA:重い重量で筋力を高める日

① スクワット:4〜6回 × 3〜4セット
② ルーマニアンデッドリフト:5〜6回 × 3セット
③ ブルガリアンスクワット:左右6回 × 3セット
④ カーフレイズ:8〜10回 × 3セット
⑤ プランク:30〜45秒 × 3セット
メニューB:ジャンプでバネを高める日

① ポゴジャンプ(足首だけで弾む):15〜20秒 × 3セット
② ボックスジャンプ:5回 × 3セット
③ ステップアップ:左右6回 × 3セット
④ 片脚カーフレイズ:10回 × 3セット
⑤ サイドプランク:30秒 × 3セット
重い重量のセットの間は2〜3分休みましょう。また、ロング走やポイント練習の前日は避け、走る練習とうまく組み合わせることが大切です。各種目のやり方は、スクワット、ルーマニアンデッドリフト、ブルガリアンスクワット、ステップアップの記事で解説しています。
① 週2回・8週間以上を目安に続ける
② 重い重量とジャンプ系を組み合わせる
③ 体重は増えにくいので心配しすぎない
④ 大会の10〜14日前からは量を減らす
なお、研究の多くはトレーニングを積んだランナーを対象にしたもので、フルマラソンのタイムを直接調べたものは多くありません。それでも、効率よく走る力と、疲れても粘れる脚をつくるうえで、筋トレは有効な手段です。
本記事のまとめ
ランナーが筋トレを取り入れると、ランニングエコノミーが向上し、後半もスピードを保ちやすくなることが研究で示されています。体重もほとんど増えず、ケガの予防にもつながります。
走る練習に、週2回の筋トレをプラスして、30km以降も粘れる脚をつくりましょう。トライアスロンやロードバイクに本格的に取り組む方は、グループの ORCA CYCLING SCHOOL もご覧ください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
