こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、ゴルフのラウンド前に行うウォームアップと、ストレッチの正しい選び方について解説していきます。
ラウンド前はいつも、ティーグラウンドで素振りを数回するだけです。
ウォームアップはした方がいいのでしょうか?ストレッチはどんなものがいいですか?
以上のように、ラウンド前の準備に悩んでいる方のご質問にお答えします。
ウォームアップをしているゴルファーは約半数
オーストラリアのゴルフ場で、アマチュアゴルファー1,040人を観察した研究では、ウォームアップをしていたのは54.3%でした。しかも、その88.7%は「ティーグラウンドでの素振りだけ」だったと報告されています。
参照 : Fradkin AJ, et al. Br J Sports Med. 2001;35(2):125-127. doi:10.1136/bjsm.35.2.125
別のアンケートでも、70%以上が「ほとんど・まったくウォームアップをしない」と答え、その理由は「必要ないから(38.7%)」「時間がないから(36.4%)」でした。
参照 : Fradkin AJ, et al. J Sci Med Sport. 2003;6(2):210-215. doi:10.1016/s1440-2440(03)80256-6
ウォームアップをしない人はケガが多い
女性ゴルファー522人を対象にした調査では、35.2%が過去1年間にゴルフでケガをしており、最も多い部位は腰でした。そして、定期的にウォームアップをしない人は、ケガを報告する割合が大幅に高いことがわかりました。
参照 : Fradkin AJ, et al. J Sci Med Sport. 2007;10(1):66-71. doi:10.1016/j.jsams.2006.04.001
ただし、この研究はアンケートによる調査で、「ウォームアップをすればケガを防げる」と証明したものではありません。それでも、腰を痛めやすいゴルフでは、準備をしておくに越したことはないでしょう。腰痛については、ゴルフで腰が痛い原因は股関節と背中?の記事で解説しています。
ウォームアップでヘッドスピードは上がる
男性ゴルファーを対象にした研究では、ゴルフ専用のウォームアップを行うことで、その直後からヘッドスピードが向上しました。何もしなかったグループでは、ほとんど変化がありませんでした。
参照 : Fradkin AJ, et al. Br J Sports Med. 2004;38(6):762-765. doi:10.1136/bjsm.2003.009399
ただし、この研究は20人と小規模なので、数字よりも「ウォームアップをするとヘッドスピードが上がる」という傾向として捉えるとよいでしょう。
ラウンド前の「静的ストレッチ」は逆効果?
ここで注意したいのが、ストレッチの種類です。
① 静的ストレッチ:筋肉を伸ばした状態で、じっと止める(20〜30秒キープなど)
② 動的ストレッチ:腕や脚を大きく動かしながら、関節を動かしていく
長い静的ストレッチは、飛距離と精度が落ちる
若い男性ゴルファー15人を対象にした研究では、ウォームアップに20分間の静的ストレッチを加えたところ、加えなかった場合に比べて、ヘッドスピードが4.19%、飛距離が5.62%、正確性が31.04%低下しました。
参照 : Gergley JC. J Strength Cond Res. 2009;23(3):863-867. doi:10.1519/JSC.0b013e3181a00c67
その後の研究では、ヘッドスピードの低下は約45分で元に戻ったものの、飛距離の低下は60分後も残っていました。
参照 : Gergley JC. J Strength Cond Res. 2010;24(12):3326-3333. doi:10.1519/JSC.0b013e3181e725e4
ただし、これは20分間という長い静的ストレッチの結果です。1か所あたり数十秒の短いストレッチまで悪いという証拠はありません。
動的ストレッチなら、ヘッドスピードもミート率も上がる
一方で、動的ストレッチを行った研究では、静的ストレッチや何もしない場合に比べて、ヘッドスピードとボール初速が高くなり、芯で捉えやすくなったと報告されています。この効果は、少なくとも30分間続いていました。
参照 : Moran KA, et al. Int J Sports Med. 2009;30(2):113-118. doi:10.1055/s-0028-1103303
また、エリートゴルファーを対象にした研究では、動的ストレッチにチューブ(ゴムバンド)を使ったエクササイズを加えることで、最大飛距離やミート率が向上したことも報告されています。
参照 : Tilley NR, Macfarlane A. Int J Sports Phys Ther. 2012;7(4):388-395.
日本のアマチュアゴルファー22人を対象にした研究でも、リード側(右打ちなら左)の股関節にフォームローラーと動的ストレッチを行うと、素振りだけの場合よりもキャリー(飛距離)が伸びたと報告されています。
参照 : Hamada Y, et al. J Strength Cond Res. 2024;38(7):e391-e397. doi:10.1519/JSC.0000000000004786
ラウンド前におすすめのウォームアップ(約10分)
これらの研究をもとに、ラウンド前に行いたいウォームアップを紹介します。
① その場足踏み・早歩き(1〜2分)
まずは体温を上げるところから。駐車場からクラブハウスまで少し早歩きするだけでも構いません。
② レッグスイング(前後・左右 各10回)
壁やカートにつかまり、片脚を前後・左右に大きく振ります。股関節の動きを引き出します。
③ 股関節の内・外回し(左右10回)
立ったまま、または片膝をついて、股関節を内側・外側に大きく回します。特にリード側の股関節を意識しましょう。
④ クラブを担いだ体幹の回旋(左右10回)

クラブを肩に担ぎ、アドレスの姿勢で上半身をゆっくり左右にひねります。だんだんスピードを上げていきましょう。
⑤ チューブを使った回旋(左右8〜10回)
チューブを腰の高さに固定し、スイング方向にゆっくり引きます。チューブがない場合は省略しても構いません。
⑥ 素振り(ハーフスイング→フルスイング 約10回)
短いクラブのハーフスイングから始め、徐々にドライバーのフルスイングへ。素振りは最後の仕上げとして行いましょう。
① 素振りだけで済ませない
② 長時間の静的ストレッチは、ラウンド前ではなくラウンド後に
③ 動的ストレッチで、股関節と体幹を大きく動かす
④ 合計10分ほどでOK
本記事のまとめ
ラウンド前のウォームアップは、ヘッドスピードを上げ、ケガを防ぐために大切です。
じっと伸ばす静的ストレッチではなく、動きながら行う動的ストレッチを選びましょう。じっくり伸ばすストレッチは、ラウンド後のケアとして取り入れるのがおすすめです。飛距離を伸ばすためのカラダづくりについては、40代・50代でゴルフの飛距離が落ちる理由とは?の記事もご覧ください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
