こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、ランニングで膝が痛くなる原因と、その対策について解説していきます。
マラソンに向けて走る距離を増やしたら、膝が痛くなってきました。
膝の外側やお皿のまわりが痛むのですが、どうすればいいでしょうか?
以上のように、ランニングで膝の痛みに悩んでいる方のご質問にお答えします。
ランナーに多い2つの膝の痛み
ランニングで最もケガが多い部位は、膝です。長距離ランナーを対象にした研究をまとめた報告でも、膝が最も多い部位であることが示されています。
参照 : van Gent RN, et al. Br J Sports Med. 2007;41(8):469-480. doi:10.1136/bjsm.2006.033548
また、2,002件のランニング障害を調べた研究では、最も多かったのが膝蓋大腿疼痛症候群(お皿まわりの痛み)、次に多かったのが腸脛靭帯炎(膝の外側の痛み)でした。
参照 : Taunton JE, et al. Br J Sports Med. 2002;36(2):95-101. doi:10.1136/bjsm.36.2.95
① 膝の外側が痛む:腸脛靭帯炎(いわゆるランナー膝)
② お皿のまわり・膝の前が痛む:膝蓋大腿疼痛症候群
特に、膝蓋大腿疼痛症候群は女性に多いことが知られています。活動的な若い男女を最長2.5年追跡した研究では、女性は男性の約2.2倍、この痛みが起こりやすいという結果でした。
参照 : Boling M, et al. Scand J Med Sci Sports. 2010;20(5):725-730. doi:10.1111/j.1600-0838.2009.00996.x
膝が痛くなる原因は「股関節」にある
膝が痛いと、膝そのものに原因があると考えがちです。しかし、ランナーの膝の痛みでは、股関節まわりの筋力不足が関係していることが多くあります。
お尻の横の筋肉(中殿筋)が弱いと膝がブレる
腸脛靭帯炎のランナーを調べた研究では、痛みのある脚の股関節外転筋(お尻の横の筋肉)の筋力が、痛みのない脚や健康なランナーよりも低いことが報告されています。
さらに、6週間お尻の横の筋肉を鍛えたところ、筋力が女性で34.9%、男性で51.4%向上し、24人中22人が痛みなく走れるようになりました。
参照 : Fredericson M, et al. Clin J Sport Med. 2000;10(3):169-175. doi:10.1097/00042752-200007000-00004
お尻の筋肉が弱いと、着地のたびに膝が内側に入ったり、骨盤が左右に揺れたりして、膝に負担がかかりやすくなります。
膝だけでなく股関節も鍛えると痛みが減る
お皿まわりの痛みについても、14の研究(673人)をまとめた分析で、膝だけを鍛えるよりも、股関節と膝の両方を鍛えた方が痛みが減り、動きやすくなることが示されています。
参照 : Nascimento LR, et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2018;48(1):19-31. doi:10.2519/jospt.2018.7365
20〜40歳の女性を対象にした研究でも、膝のトレーニングに股関節(お尻)のトレーニングを加えたグループの方が、1年後まで痛みと動きの改善が続いていました。
参照 : Fukuda TY, et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2012;42(10):823-830. doi:10.2519/jospt.2012.4184
走り方・走る量も見直そう
走る距離を急に増やさない
初心者ランナー874人を1年間追跡した研究では、1週間の走行距離を30%以上増やしたランナーは、10%未満のランナーに比べて、膝の痛みを含む「走りすぎ」によるケガが多い傾向がありました(統計的にははっきりした差ではありません)。
参照 : Nielsen RØ, et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2014;44(10):739-747. doi:10.2519/jospt.2014.5164
大会に向けて距離を伸ばすときは、急に増やさず、少しずつ増やしていくことをおすすめします。
ピッチ(歩数)を少し上げる
ランナー45人を対象にした研究では、ピッチ(1分間の歩数)を5〜10%上げると、膝にかかる負担が減ることが報告されています。歩幅を少し小さくして、足の回転を少し速くするイメージです。
参照 : Heiderscheit BC, et al. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(2):296-302. doi:10.1249/MSS.0b013e3181ebedf4
膝の痛みを防ぐトレーニング
ここでは、お尻まわりの筋肉を鍛えるトレーニングを紹介します。痛みが強い時は無理をせず、痛みの出ない範囲で行いましょう。
① サイドライイング・ヒップアブダクション
横向きに寝て、上の脚をまっすぐ伸ばしたまま、かかとから斜め後ろに持ち上げます。つま先が上を向かないように注意しましょう。左右15回×2〜3セットが目安です。
② クラムシェル
横向きに寝て膝を曲げ、かかとをつけたまま上の膝を開きます。骨盤が後ろに倒れないようにするのがポイントです。左右15回×2〜3セットが目安です。
③ ヒップリフト

仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げて肩から膝まで一直線にします。10回×2〜3セットが目安です。慣れてきたら片脚で行いましょう。
④ ステップダウン
台の上に片脚で立ち、反対の脚をゆっくり下ろしてかかとを床に近づけます。膝が内側に入らないように、鏡を見ながら行いましょう。左右10回×2〜3セットが目安です。
① お尻の横・後ろの筋肉を鍛える
② 膝だけでなく、股関節と膝をセットで鍛える
③ 走る距離は急に増やさない
④ ピッチを5〜10%上げて、膝への負担を減らす
なお、腫れや熱感がある、安静にしていても痛む、膝がぐらつくといった場合は、まずは整形外科を受診してください。
本記事のまとめ
ランナーに多い膝の痛みは、膝そのものよりも、股関節まわりの筋力不足や走る量・走り方が関係していることが多くあります。
膝をかばうだけでなく、お尻の筋肉を鍛えて「膝がブレない走り」をつくりましょう。痛みなく走り続けられることが、記録を伸ばす一番の近道です。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
