こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、ジャンプトレーニング(プライオメトリクス)がランニングに効果があるのか、そして安全な始め方について、研究をもとに解説していきます。
マラソンのタイムを縮めたいです。
ジャンプのトレーニングが良いと聞きましたが、長距離ランナーにも効果はありますか?
以上のように、タイムを縮めたいランナーの方のご質問にお答えします。
先に結論をお伝えすると、ジャンプトレーニングでランニングの効率(ランニングエコノミー)や記録が改善した研究は複数あります。ただし、最新の研究のまとめでは、ジャンプ単独よりも、重りを使った筋トレと組み合わせた方が効果が大きいことがわかっています。
プライオメトリクスとは?

プライオメトリクスとは、ジャンプやバウンディングのように、筋肉と腱がバネのように「縮む直前に引き伸ばされる」動きを素早く繰り返すトレーニングです。ランニングも、着地で脚が縮み、すぐに地面を蹴るバネの動きの連続です。
ジャンプトレーニングでランニングは速くなる?
5km走のタイムが改善
長距離ランナーが9週間、練習の32%をジャンプや短いダッシュなどの爆発的なトレーニングに置き換えた研究では、5km走のタイムとランニングエコノミーが改善しました。最大酸素摂取量は変わっていなかったことから、心肺機能ではなく「走りの効率」と筋力の向上が記録の改善につながったと考えられています(Paavolainen et al., 1999)。
3km走が2.7%改善
男性ランナー17人に6週間のジャンプトレーニングを行った研究では、3km走の記録が2.7%改善し、すべての速度でランニングエコノミーが良くなりました。ふくらはぎの筋肉と腱の「硬さ(バネの強さ)」が増していたことも報告されています(Spurrs et al., 2003)。
トップランナーでも効果
高い競技レベルの中・長距離ランナーでも、9週間のジャンプトレーニングで時速18kmで走るときのランニングエコノミーが4.1%改善しました。ただし、時速14・16kmでは改善が見られませんでした(Saunders et al., 2006)。
中・長距離ランナー36人の研究でも、6週間のジャンプトレーニングで2.4km走が3.9%、20mダッシュが2.3%短縮しています(Ramírez-Campillo et al., 2014)。
研究をまとめると「重りの筋トレとの組み合わせ」が大事
16の研究をまとめた報告では、ランニングエコノミーの改善は、ジャンプなどの爆発的なトレーニングで約4.8%、重い重りを使う筋トレで約3.7%でした(Denadai et al., 2017)。高い競技レベルのランナーでも、筋トレでランニングエコノミーが大きく改善することがまとめられています(Balsalobre-Fernández et al., 2016)。
一方で、中・長距離ランナーの研究をまとめた2024年の報告では、走りの記録に対して、重い重りを使う筋トレや、複数の方法を組み合わせた筋トレは有効だったのに対し、ジャンプ単独でははっきりした効果は見られませんでした(Llanos-Lagos et al., 2024)。
つまり、ジャンプトレーニングは「重りの筋トレにプラスする」形で取り入れるのが最も効果的です。

ランナー向けジャンプトレーニングのやり方
ジャンプトレーニングは、着地の衝撃が大きいトレーニングです。低い強度から始めて、回数より「質(素早く跳ぶこと)」を重視しましょう。

ステップ1(最初の2〜3週)
・その場で軽く連続ジャンプ(ポゴジャンプ):10〜15回×3セット
・スキップ:20m×3本
ステップ2(慣れてきたら)
・スクワットジャンプ:6〜8回×3セット
・バウンディング(大きく弾むように走る):20〜30m×3本
ステップ3(上級者)
・片脚での連続ジャンプ:左右各6〜8回×2〜3セット
・台から降りてすぐ跳ぶジャンプ(ドロップジャンプ):5回×3セット
※段階やセット数は、研究をもとにした当ジムでの目安です。
注意点
・かかとを強く打ちつけず、足の前側で静かに着地する
・疲れてフォームが崩れたらその日は終了
・ポイント練習(インターバル・ロング走)の前日は避ける
・アキレス腱・すねに痛みがあるときは行わない
すねやアキレス腱に痛みがある方は、先にシンスプリントやアキレス腱の痛みの記事で紹介しているふくらはぎの筋トレから始めましょう。
よくある質問
Q. ジャンプトレーニングでマラソンは速くなりますか?
ジャンプトレーニングでランニングエコノミーや5km・3km走の記録が改善した研究があります。ただし最新のまとめでは、ジャンプ単独より、重りを使った筋トレと組み合わせた方が効果がはっきりしています。
Q. ジャンプトレーニングは週何回行えばいいですか?
週1〜2回、低い強度から始めるのがおすすめです。ポイント練習の前日は避けましょう。
Q. ランニング初心者でもジャンプトレーニングはできますか?
できますが、まずはスクワットやふくらはぎの筋トレで土台をつくり、その場での軽い連続ジャンプやスキップなど、低い強度から始めましょう。
本記事のまとめ
ジャンプトレーニングは、ランニングの効率と記録を改善する可能性があるトレーニングです。重りを使った筋トレと組み合わせ、低い強度から少しずつ取り入れましょう。
ORCA PERSONAL GYMでは、フルマラソン・ハーフマラソンに取り組むランナーの方の筋力トレーニングを、練習やレースの予定に合わせて完全個室・マンツーマンで指導しています。詳しくはマラソン・ランニングのパーソナルトレーニングのページをご覧ください。重りを使った筋トレについてはマラソンの後半に失速しないための筋トレの記事で解説しています。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
- Balsalobre-Fernández C, et al. J Strength Cond Res. 2016;30(8):2361-2368. doi:10.1519/JSC.0000000000001316
- Denadai BS, et al. Sports Med. 2017;47(3):545-554. doi:10.1007/s40279-016-0604-z
- Llanos-Lagos C, et al. Sports Med. 2024;54(7):1801-1833. doi:10.1007/s40279-024-02018-z
- Paavolainen L, et al. J Appl Physiol (1985). 1999;86(5):1527-1533. doi:10.1152/jappl.1999.86.5.1527
- Ramírez-Campillo R, et al. J Strength Cond Res. 2014;28(1):97-104. doi:10.1519/JSC.0b013e3182a1f44c
- Saunders PU, et al. J Strength Cond Res. 2006;20(4):947-954. doi:10.1519/R-18235.1
- Spurrs RW, et al. Eur J Appl Physiol. 2003;89(1):1-7. doi:10.1007/s00421-002-0741-y
