こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、ランナーにとって体幹トレーニングは本当に効果があるのか、そして何を優先すべきかについて、研究をもとに解説していきます。
マラソンの後半になるとフォームが崩れます。
「体幹が弱いから」と言われてプランクを毎日していますが、効果はありますか?
以上のように、フォームの崩れや後半の失速に悩むランナーの方のご質問にお答えします。
先に結論をお伝えすると、体幹トレーニングでランニングのタイムが良くなったという研究はあるものの、効果は小さく、研究の数も多くありません。体幹トレーニングだけに時間を使うより、脚とお尻の筋トレを中心にして、体幹は「プラスα」で取り入れるのがおすすめです。
そもそも「体幹」とは?

体幹とは、お腹・背中・お尻まわりなど、胴体を支える筋肉の総称です。走るときは、脚が地面を押す力を上半身にうまく伝えたり、骨盤や背骨の姿勢を保ったりする役割があります。
ただし、体幹の安定性や筋力を高めること自体は研究で確認されていても、それが競技のパフォーマンス向上につながったことを示した研究は少ないとまとめられています(Hibbs et al., 2008)。
体幹トレーニングでタイムは良くなる?
5000m走のタイムが短縮した研究
ランナーを対象に6週間の体幹トレーニングを行った研究では、5000m走のタイムが短縮しました。一方で、着地の衝撃(地面反力)や脚の安定性には変化が見られませんでした(Sato & Mokha, 2009)。最後まで参加したのは20人と、小規模な研究です。
ランニングの効率が良くなった研究
大学生アスリート21人に8週間の体幹トレーニングを行った研究では、体幹の持久力が向上し、同じ速さで走るときの酸素の消費量が減った(ランニングエコノミーが改善した)と報告されています(Hung et al., 2019)。ただし、対象はランナーではありません。
市民ランナー16人を対象にした研究では、呼吸の筋肉に負荷をかけながら体幹トレーニングを行うと、1時間走の記録とランニングエコノミーが改善しました(Tong et al., 2016)。ただし、体幹トレーニング単独の効果ではない点に注意が必要です。
体幹の疲労が走りを妨げる可能性
市民ランナー9人の研究では、先に体幹の筋肉を疲れさせておくと、高い強度で走り続けられる時間が平均10.7分から6.5分に短くなったと報告されています(Tong et al., 2014)。体幹の持久力が、きついペースでの走りを支えている可能性があります。
研究をまとめると「効果はわずか」
24の研究をまとめたレビューでは、体幹に絞ったトレーニングによる競技パフォーマンスへの効果は「わずか」と結論づけられています(Reed et al., 2012)。体幹トレーニングの研究をまとめた2023年の報告も、対象はバランス・ジャンプ・投げる動作で、長距離走の記録は含まれていません(Rodríguez-Perea et al., 2023)。
つまり、ランナーに絞って体幹トレーニングの効果をまとめた研究は、まだないというのが現状です。
ランナーが優先すべきは「脚とお尻の筋トレ」
一方で、スクワットなどの重りを使った筋トレについては、トップレベルのランナーでもランニングエコノミーが大きく改善することがまとめた研究で示されています(Balsalobre-Fernández et al., 2016)。中・長距離ランナーの研究をまとめた2024年の報告でも、重い重りを使う筋トレや、ジャンプと組み合わせた筋トレで走りの記録が改善しました(Llanos-Lagos et al., 2024)。
限られた時間で走りを良くしたいなら、脚とお尻の筋トレを中心に、体幹は短時間で取り入れるのが効率的です。

ランナーにおすすめの体幹トレーニング
体幹トレーニングを行うなら、毎日長時間のプランクより、走る動きに近い「片脚」や「ひねりに耐える」種目を短時間で取り入れるのがおすすめです。
① プランク:30秒×2〜3セット
② サイドプランク:左右各20〜30秒×2セット
③ ヒップリフト(片脚):左右各10回×2セット
④ デッドバグ(仰向けで手足を交互に伸ばす):左右各8回×2セット
⑤ パロフプレス(チューブを引かれる力に耐える):左右各10回×2セット

脚の筋トレの日に、最後の10分で行うと続けやすくなります。
体幹トレーニングで腰痛は良くなる?
慢性的な腰痛の方に、体幹のインナーマッスルを意識した運動(モーターコントロールエクササイズ)を行った研究をまとめた報告では、何もしない場合よりは痛みが改善するものの、他の運動と比べて特に優れているわけではないとされています(Saragiotto et al., 2016)。
「腰痛には体幹トレーニングでないといけない」というわけではありません。ランニング中の腰痛についてはランニングで腰が痛い原因と対策で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 体幹トレーニングでマラソンは速くなりますか?
6週間の体幹トレーニングで5000m走のタイムが短縮した研究はありますが、研究の数が少なく、まとめた研究では効果は「わずか」とされています。脚とお尻の筋トレを優先し、体幹はプラスαで取り入れるのがおすすめです。
Q. プランクは毎日やった方がいいですか?
毎日行う必要はありません。週2〜3回、サイドプランクや片脚の種目を含めて10分程度行えば十分です。
Q. 体幹トレーニングだけで腰痛は治りますか?
研究では、体幹を意識した運動は何もしない場合よりは腰痛を改善しますが、他の運動と比べて特に優れているわけではありません。
本記事のまとめ
体幹トレーニングでタイムが良くなった研究はありますが、効果は小さく、研究もまだ少ないのが現状です。ランナーは脚とお尻の筋トレを中心に、体幹は短時間でプラスαとして取り入れましょう。
ORCA PERSONAL GYMでは、フルマラソン・ハーフマラソンに取り組むランナーの方の筋力トレーニングを、練習やレースの予定に合わせて完全個室・マンツーマンで指導しています。詳しくはマラソン・ランニングのパーソナルトレーニングのページをご覧ください。脚の筋トレについてはマラソンの後半に失速しないための筋トレの記事もあわせてご覧ください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
- Balsalobre-Fernández C, et al. J Strength Cond Res. 2016;30(8):2361-2368. doi:10.1519/JSC.0000000000001316
- Hibbs AE, et al. Sports Med. 2008;38(12):995-1008. doi:10.2165/00007256-200838120-00004
- Hung KC, et al. PLoS One. 2019;14(3):e0213158. doi:10.1371/journal.pone.0213158
- Llanos-Lagos C, et al. Sports Med. 2024;54(7):1801-1833. doi:10.1007/s40279-024-02018-z
- Reed CA, et al. Sports Med. 2012;42(8):697-706. doi:10.2165/11633450-000000000-00000
- Rodríguez-Perea Á, et al. Biol Sport. 2023;40(4):975-992. doi:10.5114/biolsport.2023.123319
- Saragiotto BT, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016;(1):CD012004. doi:10.1002/14651858.CD012004
- Sato K, Mokha M. J Strength Cond Res. 2009;23(1):133-140. doi:10.1519/JSC.0b013e31818eb0c5
- Tong TK, et al. J Sports Sci Med. 2014;13(2):244-251. PubMed
- Tong TK, et al. J Strength Cond Res. 2016;30(10):2942-2951. doi:10.1519/JSC.0000000000000656
