こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、マラソン前に筋トレをいつまで続けるべきか、そしてレース前の筋トレの減らし方について、研究をもとに解説していきます。
来月フルマラソンに出ます。
レース前は筋トレをやめた方がいいですか?いつまで続けていいのか分かりません。
以上のように、レースを控えたランナーの方のご質問にお答えします。
先に結論をお伝えすると、レース前も筋トレを完全にやめる必要はなく、回数と量を減らして続けるのがおすすめです。研究では、週1回の少ない筋トレでも、筋力をほぼ維持できることがわかっています。
レース前の調整(テーパリング)とは?

テーパリングとは、レースに向けて練習量を減らし、疲労を抜きながら体の状態をピークに合わせることです。
27の研究をまとめた報告では、期間は2週間、練習量は41〜60%減らし、練習の強度と頻度は保つ方法で、最もパフォーマンスが向上していました(Bosquet et al., 2007)。テーパリングでパフォーマンスは通常約3%向上するとされています(Mujika & Padilla, 2003)。
ここでのポイントは、「量は減らすが、強度は落とさない」ことです。これは筋トレにも当てはまります。
筋トレをやめると、せっかくの効果が落ちる
トレーニングをやめたり、量が足りなくなったりすると、トレーニングで得た体の変化は失われていきます(Mujika & Padilla, 2000)。
ランナーが40週間、筋トレを続けた研究では、筋力、ランニングエコノミー、最大酸素摂取量に達する速度が20週目・40週目に向上していました(Beattie et al., 2017)。筋トレの効果は、続けることで積み上がっていきます。
一方で、中距離ランナー8人が筋トレとランニングを組み合わせた練習を4週間やめた報告では、走るエネルギーの効率や筋力の改善が保たれていました(Berryman et al., 2020)。人数の少ない報告ですが、数週間の調整期間で、筋トレの効果がすぐに消えるわけではないことがうかがえます。
週1回の筋トレで効果は維持できる
自転車選手が12週間、週2回の筋トレを行った後、シーズン中の13週間を週1回の筋トレに減らした研究では、筋肉の太さと筋力が維持され、自転車のパフォーマンスも向上しました(Rønnestad et al., 2010)。
若い人と高齢者を対象にした研究でも、16週間の筋トレの後、量を3分の1、さらには9分の1に減らしても、若い人では筋肉の太さが維持されていました(Bickel et al., 2011)。
つまり、レース前は筋トレの量を大きく減らしても、重さ(強度)を保てば効果は維持しやすいと考えられます。

筋トレの直後は走りの効率が落ちる
注意したいのは、筋トレをした直後の疲労です。1回の筋トレの後、回復が不十分だと、数時間から数日にわたって持久力のパフォーマンスが落ちる可能性があるとまとめられています(Doma et al., 2017)。
特に、慣れていない種目や、筋肉痛が出やすい種目はレース前に避けましょう。
レース前の筋トレスケジュール(目安)
研究をもとにした当ジムでの目安です。普段から週2回筋トレをしている方を想定しています。
レース3〜4週間前
・普段どおり週2回。重さは変えない
レース2週間前
・週1回に減らす
・重さは保ち、セット数を半分程度に
レース1週間前(レース週)
・行う場合は、レース5〜7日前に軽めを1回だけ
・セット数はさらに減らし、余裕を残して終える
・新しい種目、筋肉痛が出る種目はしない
レース2〜3日前〜当日
・筋トレはせず、ストレッチや軽い動きづくりのみ
普段筋トレをしていない方が、レース直前に新しく筋トレを始めるのはおすすめしません。筋トレは、レースの数か月前から計画的に取り入れるのが理想です。
レース後の筋トレの再開
フルマラソンの後は、脚の筋肉に大きなダメージが残ります。まずは1〜2週間ほど軽い運動で回復を優先し、筋肉痛が引いてから軽い重さで筋トレを再開しましょう。
よくある質問
Q. マラソンの何日前まで筋トレをしていいですか?
普段から筋トレをしている方は、レース5〜7日前に軽めの筋トレを1回行うのが目安です。レース2〜3日前からは筋トレを控え、軽い動きづくりにとどめましょう。
Q. レース前に筋トレをやめると筋力は落ちますか?
研究では、週1回の筋トレや、量を3分の1以下に減らしても、筋力や筋肉の太さが維持されていました。完全にやめるより、量を減らして続けるのがおすすめです。
Q. テーパリングは何週間前から始めればいいですか?
研究をまとめた報告では、2週間かけて練習量を41〜60%減らし、強度は保つ方法が最も効果的でした。
本記事のまとめ
レース前は筋トレを完全にやめるのではなく、量を減らし、重さは保って続けるのがポイントです。レース直前の新しい種目や、疲労の残る筋トレは避けましょう。
ORCA PERSONAL GYMでは、フルマラソン・ハーフマラソンに取り組むランナーの方の筋力トレーニングを、練習やレースの予定に合わせて完全個室・マンツーマンで指導しています。詳しくはマラソン・ランニングのパーソナルトレーニングのページをご覧ください。レース中の脚のつりについてはマラソンの後半に脚がつる原因と対策の記事もあわせてご覧ください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
- Beattie K, et al. J Strength Cond Res. 2017;31(1):9-23. doi:10.1519/JSC.0000000000001464
- Berryman N, et al. Sports (Basel). 2020;9(1):1. doi:10.3390/sports9010001
- Bickel CS, et al. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(7):1177-1187. doi:10.1249/MSS.0b013e318207c15d
- Bosquet L, et al. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(8):1358-1365. doi:10.1249/mss.0b013e31806010e0
- Doma K, et al. Sports Med. 2017;47(11):2187-2200. doi:10.1007/s40279-017-0758-3
- Mujika I, Padilla S. Med Sci Sports Exerc. 2003;35(7):1182-1187. doi:10.1249/01.MSS.0000074448.73931.11
- Mujika I, Padilla S. Sports Med. 2000;30(2):79-87. doi:10.2165/00007256-200030020-00002
- Rønnestad BR, et al. Eur J Appl Physiol. 2010;110(6):1269-1282. doi:10.1007/s00421-010-1622-4
