こんにちは。
名古屋栄・久屋大通のパーソナルトレーニングジム ORCA PERSONAL GYMの 伊藤 ( @orca_coach ) です。
こちらの記事では、トライアスロンのパフォーマンスを上げるための筋トレと、その効果について、研究をもとに解説していきます。
スイム・バイク・ランの練習だけで時間がいっぱいです。
トライアスロンに筋トレは必要でしょうか?
以上のように、トライアスロンに取り組む方のご質問にお答えします。
先に結論をお伝えすると、週2回ほどの重めの筋トレを加えると、バイクとランの効率が上がり、レースのタイム向上につながることが研究で示されています。体重はほとんど増えず、持久力が落ちる心配も小さいとされています。
筋トレでバイクとランの「燃費」が良くなる

ロングディスタンスのトライアスリートを対象にしたランダム化比較試験では、26週間、持久系の練習に筋トレを加えたグループで、最大筋力に加えて、バイクとランの効率(同じスピードを少ないエネルギーで出せる力)が向上しました。体重は変わらず、持久系の練習だけのグループでは効率の向上は見られませんでした(Luckin-Baldwin et al., 2021)。
トライアスリート15人の研究でも、14週間・週2回の重めの筋トレを加えたグループで、ランニングの効率と跳躍力が向上し、最大酸素摂取量(VO2max)は落ちていませんでした(Millet et al., 2002)。
ランへの効果
中・長距離ランナーの研究をまとめた報告では、重い重量での筋トレでランニングエコノミー(走りの燃費)が向上し、ジャンプ系と組み合わせるとさらに効果が大きくなりました(Llanos-Lagos et al., 2024a)。タイムトライアルなどの走るパフォーマンスでも、重い重量の筋トレで中程度、組み合わせた方法で大きな改善が見られています(Llanos-Lagos et al., 2024b)。
別の研究のまとめでは、最大重量の90%以上の重さ、10〜14週間続けたプログラムの方が、軽い重さや6〜8週間のプログラムより効果が大きいという結果でした(Eihara et al., 2022)。
バイクへの効果
自転車選手を対象にした17の研究のまとめでは、最大重量の80%以上の重い筋トレで、ペダリングの効率、短時間の最大パワー、タイムトライアルなどのパフォーマンスが向上しました(Llanos-Lagos et al., 2025)。バイクの筋トレについては、ロードバイクで速くなる筋トレの記事で詳しく解説しています。
スイムにも陸上の筋トレが役立つ

競泳の研究をまとめた報告では、泳ぐ練習だけより、筋トレを組み合わせた方がパフォーマンスが向上し、水中での負荷トレーニング・泳ぎに近い陸上トレーニング・一般的な筋トレのいずれでも、2〜2.5%ほどの改善が見られました(Fone et al., 2022)。懸垂やラットプルダウンなど、背中と腕で水をかく力を鍛える種目もメニューに入れておきましょう。
筋トレで体重は増える?持久力は落ちる?
「筋肉がついて体が重くなるのでは」と心配される方は多いですが、先ほどのトライアスリートの研究では体重は変わりませんでした(Luckin-Baldwin et al., 2021)。ランナーのジャンプトレーニングの研究のまとめでも、体重の変化は見られていません(Ramirez-Campillo et al., 2021)。
持久系の練習と筋トレを並行する研究を大規模にまとめた報告では、持久力の向上は持久系の練習だけの場合と同程度で、筋力はより大きく向上していました(Held et al., 2026)。
ただし、ランニングの練習量が多いと、筋トレによる筋力の伸びがやや小さくなることがわかっています(Wilson et al., 2012)。同じ日に行う場合は、筋トレを先に行うと、下半身の筋力が伸びやすいという報告があります(Eddens et al., 2018)。なお、女性では、持久系の練習を並行しても下半身の筋力の伸びが小さくなりにくいことが示されています(Huiberts et al., 2024)。
ケガの予防にもつながる
ショートディスタンスのトライアスリートの研究をまとめた報告では、ケガの45〜92%がランの最中に起きており、使いすぎによる下肢のケガが多いことがわかっています(Guevara et al., 2024)。
スポーツ全般の研究をまとめた報告では、筋トレによってケガのリスクが3分の1以下に、使いすぎによるケガがほぼ半分に減っていました(Lauersen et al., 2014)。トライアスリートを対象にした研究でも、12週間の最大筋力トレーニングでアキレス腱の硬さ(バネの強さ)が約39%、膝の腱が約16%向上しています(Jacobs et al., 2025)。
トライアスリートのための筋トレメニュー
オフシーズンや準備期は週2回、シーズン中は週1回で筋力を維持するのがおすすめです。自転車選手の研究では、準備期に週2回・12週間行った後、シーズン中は週1回に減らしても筋力が保たれ、パフォーマンスの向上も続きました(Rønnestad et al., 2010)。反対に、筋トレを8週間やめると、跳躍力や最大パワーの向上分が失われていきました(Rønnestad et al., 2016)。
① スクワット

最初は軽めの重さでフォームを固め、慣れてきたら4〜6回で限界になる重さで3〜4セット行います。バイクのペダリングとランの蹴り出しの土台になります。
② ルーマニアンデッドリフト

膝を軽く曲げたまま、お尻を後ろに引いてバーベルやダンベルを下ろします。お尻ともも裏を鍛え、ランの推進力と腰まわりの安定に役立ちます。5〜6回×3セット。
③ ブルガリアンスクワット
後ろ足を台にのせ、前脚で深くしゃがみます。片脚ずつ鍛えることで、左右差の改善とランの着地の安定につながります。左右6〜8回×3セット。
④ カーフレイズ
段差につま先で立ち、かかとを上げ下げします。ランで負担がかかりやすいふくらはぎとアキレス腱を強くします。10〜12回×3セット。
⑤ ポゴジャンプ

膝をほとんど曲げずに、足首のバネでその場で連続して跳びます。地面との接地時間を短くし、ランの効率アップを狙います。10回×3セット。
⑥ 懸垂・ラットプルダウン
背中と腕の筋力を鍛え、スイムで水をかく力を高めます。懸垂が難しい場合はラットプルダウンで、6〜10回×3セット。
① 準備期は週2回、シーズン中は週1回で維持
② 重めの重さ(4〜6回が限界)とジャンプ系を組み合わせる
③ 10〜14週間以上を目安に続ける
④ 同じ日にやるなら筋トレを先に
よくある質問
Q. 筋トレはいつやるのがいいですか?
研究では、準備期は週2回、シーズン中は週1回で筋力を維持できることが示されています。同じ日に行う場合は、筋トレを先に行うと下半身の筋力が伸びやすいという報告があります。
Q. 筋肉がついて体重が増えませんか?
トライアスリートを対象にした研究では、筋トレを加えても体重は変わりませんでした。持久系の練習も並行するため、筋肉が大きくつきすぎることはほとんどありません。
Q. 女性のトライアスリートにも効果はありますか?
あります。研究では、女性は持久系の練習と並行しても下半身の筋力の伸びが小さくなりにくいことが示されています。
本記事のまとめ
トライアスロンに筋トレを取り入れると、バイクとランの効率が上がり、レースのパフォーマンス向上やケガの予防につながることが研究で示されています。体重もほとんど増えません。
準備期は週2回、シーズン中は週1回。重めの筋トレとジャンプ系を組み合わせて、3種目を最後まで粘れるカラダをつくっていきましょう。
ORCA PERSONAL GYMでは、トライアスロンやマラソン、ロードバイクに取り組む方の筋力トレーニングを、練習スケジュールに合わせてマンツーマンで指導しています。詳しくは持久系スポーツのパーソナルトレーニングのページをご覧ください。ランナー向けの筋トレはマラソンの後半に失速しないための筋トレでも解説しています。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
- Eddens L, et al. Sports Med. 2018;48(1):177-188. doi:10.1007/s40279-017-0784-1
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