こんにちは。
名古屋・栄のパーソナルジム「 ORCA PERSONAL GYM 」の伊藤です。
こちらの記事では、デッドリフトの正しいフォームと、腰を痛めないために意識したい肩・肩甲骨の使い方を、研究データをもとに解説します。これからデッドリフトを始める方、デッドリフトで腰が疲れる・痛くなる方は、ぜひ参考にしてください。腰に痛みやしびれがある場合は、トレーニングを中止して医療機関に相談してください。
デッドリフトとは?鍛えられる筋肉

デッドリフトは、床に置いたバーベルを、股関節と膝を伸ばして太ももの付け根の高さまで持ち上げる種目です。スクワット・ベンチプレスと並ぶ「BIG3」のひとつで、体の背面全体を一度に鍛えられます。
| 分類 | 筋肉 | 主なはたらき |
|---|---|---|
| 主働筋 | 大臀筋(お尻) | 股関節を伸ばす |
| 主働筋 | ハムストリング(太もも裏) | 股関節を伸ばす |
| 主働筋 | 大腿四頭筋(太もも前) | 床から引き始めるときに膝を伸ばす |
| 主働筋 | 脊柱起立筋(背中) | 背中をまっすぐ保つ |
| 協働筋 | 僧帽筋・広背筋 | 肩甲骨を固定し、バーを体に引きつける |
| 安定筋 | 前腕・握力 | バーを握り続ける |
鍛えられる部位と効果は「デッドリフトで鍛えられる部位と効果」でさらにくわしく解説しています。
通常のデッドリフトとスモウデッドリフトの違い
デッドリフトには、足幅を腰幅程度にするコンベンショナル(通常)と、足幅を大きく広げて腕を脚の内側に通すスモウがあります。大学のアメリカンフットボール選手を対象にした研究では、スモウは太もも前(内側広筋・外側広筋)とすねの筋肉、コンベンショナルはふくらはぎ(腓腹筋)の筋活動が大きい結果でした(Escamilla et al., 2002)。
| コンベンショナル | スモウ | |
|---|---|---|
| 足幅 | 腰幅〜肩幅 | 肩幅の1.5〜2倍 |
| 手の位置 | 脚の外側 | 脚の内側 |
| 上体の角度 | 前に倒れやすい | 起こしやすい |
| 研究で多く働いた筋肉 | ふくらはぎ | 太もも前・すね |
| おすすめの人 | 背面全体を鍛えたい人 | 腰の前傾を減らしたい人、股関節が柔らかい人 |
同じ研究では、ベルトを巻くと腹直筋の活動が高まることも示されています。高重量に挑戦するときは、ベルトの使用も検討しましょう。手幅・足幅による違いは「デッドリフトの手幅や足幅によるフォームの違い」をご覧ください。
デッドリフトの正しいフォーム
スタート姿勢
- 足幅:腰幅〜肩幅程度。バーが足の甲の真ん中(土踏まずの上)に来るように立つ
- 手幅:肩幅よりやや広め。脚の外側を握る
- 姿勢:肩甲骨を寄せて胸を張り、背中をまっすぐにする
- 重心:土踏まず〜くるぶしの真下
動作の手順
- 息を吸ってお腹に力を入れ、胴体を固める
- わきを締め、バーを体に引きつけて「たるみ」をとる
- 姿勢を保ったまま、床を足で押すようにして引き始める
- バーが膝を通過するまでは、上体と床の角度を一定に保つ
- 膝を過ぎたらお尻を前に押し出し、まっすぐ立つ
- 下ろすときは、お尻を後ろに引きながら(お尻から下がる)バーを脚に沿わせて戻す
下ろすときは、お尻で重さを受け止める意識をもつと、太もも裏とお尻にしっかり負荷がかかります。
肩・肩甲骨の使い方が腰を守る
デッドリフトは脚と背中の種目と思われがちですが、肩甲骨の固定がフォームを大きく左右します。肩甲骨がゆるんで前に開くと、背中が丸くなり、その分の負担が腰にかかります。
- 肩甲骨は「軽く寄せて、下げる」
- わきを締めて、広背筋でバーを体に引きつける
- 腕は「フック」だと考え、腕で引き上げない
限界まで回数をくり返すデッドリフトでは、回数が進むにつれて上体の前傾が大きくなり、腰と骨盤の動きのばらつきも増えたという報告があります(Ramirez et al., 2024)。疲れて肩甲骨が保てなくなったら、そのセットは終わりにしましょう。
よくある間違いと直し方
| 間違い | 原因として考えられること | 直し方 |
|---|---|---|
| お尻から先に上がる | お尻の筋力が重量に対して足りない | 上体の角度を保てる重量に下げる |
| 腰を丸める | 背中の筋力不足、お尻・太もも裏の硬さ | スタート位置を高くする(台に乗せる) |
| 肩甲骨がゆるむ(背中が開く) | 僧帽筋など上背部の筋力不足 | 肩甲骨を寄せたまま保てる重量にする |
| バーが体から離れる | わきがあいている | 広背筋でバーを体に引きつける |
お尻から先に上がらない
肩から起き上がるのではなく、先に膝が伸びてお尻だけが浮き、上体だけで引き上げるケースです。この形になると、腰で重さを持ち上げることになります。大臀筋が重量に対して弱い可能性があるので、バーが膝を通過するまで上体の角度を保てる重量を選びましょう。
腰を丸めない
腰を丸めたまま持ち上げる動作を続けると、腰を痛める原因になります。背中の筋力不足だけでなく、お尻や太もも裏が硬いことも考えられます。その場合は、バーベルを台やプレートに乗せてスタート位置を少し高くして行いましょう。
背中(肩甲骨)を開かない
持ち上げるときに肩甲骨がゆるむと、姿勢が保てず背中が丸くなり、腰を痛める原因になります。上背部の筋肉(主に僧帽筋)が重量に対して弱い可能性があるので、肩甲骨を寄せた状態を保てる重量を選びましょう。
重量・回数・セット数の目安
| 目的 | 重さの目安 | 回数 | セット数 | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| はじめて・フォーム習得 | 余裕をもって正しく動ける重さ | 8〜12回 | 1〜3セット | 1〜2分 |
| 筋肥大(ボディメイク) | 6〜12回で限界になる重さ | 6〜12回 | 3〜6セット | 1〜2分 |
| 筋力アップ(競技力) | 1〜6回で限界になる重さ | 1〜6回 | 3〜5セット | 3〜5分 |
| 筋持久力 | 最大の40〜60% | 15回以上 | 2〜3セット | 90秒未満 |
上の目安は、アメリカスポーツ医学会(ACSM)の筋力トレーニングに関する公式見解をもとにしています。デッドリフトは全身の大きな筋肉を使うため疲労も大きい種目です。週1〜2回から始め、フォームが安定するまでは軽い重量で練習しましょう。
スポーツをする人にデッドリフトをすすめる理由
デッドリフトで鍛えられる体の背面(お尻・太もも裏・背中)は、ダッシュやジャンプ、ゴルフのスイング、ペダリングなど、多くのスポーツで力を生み出す土台です。持久系トレーニングに高重量の筋トレを組み合わせると、自転車やランニングの経済性が向上することも報告されています(Rønnestad & Mujika, 2014)。
よくある質問
Q. デッドリフトで腰が痛くなるのはなぜですか?
背中が丸くなっている、お尻から先に上がっている、バーが体から離れている、重量が重すぎる、のいずれかが多い原因です。肩甲骨を寄せて胸を張り、バーが膝を通過するまで上体の角度を保てる重量で行いましょう。痛みやしびれがある場合は中止して医療機関に相談してください。
Q. デッドリフトではどこを意識すればいいですか?
肩甲骨を寄せて背中をまっすぐ保つこと、わきを締めてバーを体に引きつけること、足で床を押すように引き始めることの3つです。下ろすときはお尻を後ろに引き、お尻で重さを受け止めましょう。
Q. デッドリフトは週に何回やればいいですか?
はじめての方は週1〜2回が目安です。全身の大きな筋肉を使うため疲労が大きく、回復に時間がかかります。スクワットなど他の下半身種目と同じ日に行う場合は、量を調整しましょう。
Q. ベルトは使ったほうがいいですか?
軽い重量でフォームを練習するうちは必要ありません。高重量に挑戦するときは、ベルトを使うと腹圧を高めやすくなります。研究でも、ベルトを巻くと腹直筋の活動が高まることが示されています。
Q. スモウデッドリフトとどちらがいいですか?
背中からお尻・太もも裏までの背面全体を鍛えたい場合はコンベンショナル、上体を起こしたまま行いたい場合や股関節が柔らかい場合はスモウがおすすめです。研究では、スモウは太もも前の筋活動が大きくなりました。
Q. 何回・何セットやればいいですか?
はじめての方は軽めの重量で8〜12回を1〜3セットが目安です。筋力アップが目的なら1〜6回で限界になる重さで3〜5セット、休憩は3〜5分とりましょう。
本記事のまとめ
デッドリフトは、お尻・太もも裏・背中など、体の背面全体を鍛える種目です。足幅の違いによって、コンベンショナルとスモウでは働く筋肉が少し変わります。
腰を痛めないポイントは、肩甲骨を寄せて胸を張ったまま、バーが膝を通過するまで上体の角度を保つことです。お尻から先に上がる・腰が丸まる・肩甲骨がゆるむ、の3つが代表的なエラー。フォームが崩れない重量を選び、崩れてきたらその時点でセットを終えましょう。
- Escamilla RF, Francisco AC, Kayes AV, Speer KP, Moorman CT. An electromyographic analysis of sumo and conventional style deadlifts. Med Sci Sports Exerc. 2002;34(4):682-8. doi:10.1097/00005768-200204000-00019
- Ramirez VJ, Bazrgari B, Spencer A, Gao F, Samaan MA. Influence of repetitions-to-failure deadlift on lumbo-pelvic coordination, with and without body armor. J Strength Cond Res. 2024;38(10):1732-1738. doi:10.1519/JSC.0000000000004871
- American College of Sports Medicine. Progression models in resistance training for healthy adults. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(3):687-708. doi:10.1249/MSS.0b013e3181915670
- Rønnestad BR, Mujika I. Optimizing strength training for running and cycling endurance performance: A review. Scand J Med Sci Sports. 2014;24(4):603-12. doi:10.1111/sms.12104

