こんにちは。
名古屋・栄のパーソナルジム「 ORCA PERSONAL GYM 」の伊藤です。
こちらの記事では、ダンベルプルオーバーの効果と正しいやり方、そして「胸と背中のどちらに効くのか」を研究データをもとに解説します。
ダンベルプルオーバーは、胸の種目ですか?背中の種目ですか?
正しいやり方も教えてください。
ダンベルプルオーバーは、胸(大胸筋)と背中(広背筋)の両方を使う種目です。ただし研究では、大胸筋の筋活動のほうが広背筋より大きいことが示されており、どちらかといえば胸寄りの種目です。効かせるコツは、肘を軽く曲げた角度で固定し、腰を反らさずに肩だけを動かすこと。背中を重点的に鍛えたい場合は、ラットプルダウンやローイングと組み合わせましょう。
この記事は、胸や背中の種目を増やしたい方、プルオーバーが効いている感じがしない方を対象にしています。肩に痛みがある方は、無理に行わないでください。
ダンベルプルオーバーとは?鍛えられる筋肉

プルオーバーは、ベンチに仰向けに寝た状態で、両手で持ったダンベルを胸の上から頭の後ろへ弧を描くように下ろし、また胸の上へ戻す種目です。バーベルやケーブルで行う方法もありますが、ここではダンベルを使う方法を紹介します。
| 分類 | 筋肉 | 主なはたらき |
|---|---|---|
| 主働筋 | 大胸筋(胸) | 頭上から腕を胸の前に戻す |
| 主働筋 | 広背筋(背中の下〜わき) | 頭上から腕を下ろしてくる |
| 協働筋 | 小胸筋・前鋸筋 | 肩甲骨の動きを支える |
| 協働筋 | 上腕三頭筋(長頭) | 肩を伸ばす動きを助ける |
| 安定筋 | 腹直筋などの体幹 | 腰が反らないよう支える |
プルオーバーは胸と背中、どちらに効く?
バーベルでプルオーバーを行った研究では、大胸筋の筋活動が広背筋より大きく、その差は腕にかかる「てこ」の長さ(重りと肩の距離)によって変わることが示されています(Marchetti & Uchida, 2011)。広背筋の筋電図研究をまとめた2026年のレビューでも、プルオーバーは広背筋だけを狙う種目というより、大胸筋が優位に働く種目と結論づけられています(Di Fonza et al., 2026)。
| 目的 | おすすめの種目 | プルオーバーの位置づけ |
|---|---|---|
| 胸を鍛えたい | ベンチプレス、ダンベルフライ | 胸を大きく伸ばす補助種目として◎ |
| 背中(広背筋)を鍛えたい | ラットプルダウン、ローイング | メイン種目のあとの仕上げとして○ |
| 胸と背中を同時に動かしたい | — | 肩まわりの可動域づくりにも○ |
背中を中心に鍛えたい方は、ワンハンドローイングやベントオーバーロウと組み合わせるのがおすすめです。
ダンベルプルオーバーの正しいやり方
基本姿勢
- ベンチに仰向けに寝て、両足をベンチの上に乗せる
- 頭・腰(背中)・足の3点で体を支える
- ダンベルを両手で縦に持ち、胸の真上に構える
- 肘は軽く曲げ、その角度を最後まで保つ
動作の手順
- 息を吸いながら、肘の角度を変えずにダンベルを頭の後ろへ弧を描くように下ろす
- 胸とわきの下(大胸筋・広背筋)が伸びたところで止める
- 息を吐きながら、同じ軌道で胸の真上に戻す
- 戻したときに腕が床と垂直になったら、次の1回を行う
動作中は腰と骨盤を動かさないように、お腹に力を入れて体を支えておきましょう。
よくある間違いと直し方
| 間違い | 起こりやすい問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| 肘が伸びきる・曲がる | 狙いと違う筋肉の種目になる | 肘を軽く曲げた角度で固定する |
| 腰が反る | 肩ではなく腰で動かしてしまう | 腰が浮く手前で切り返す |
| 肘が開く | 広背筋への刺激が小さくなる | 肘を内側に絞ったまま下ろす |
肘は固定したまま動かさない
ダンベルを下ろすときに肘が伸びきったり曲がったりするケースです。肘を伸ばしたままなら「ストレートアームプルオーバー」で広背筋が中心に、肘を大きく曲げると「トライセプスエクステンション」で上腕三頭筋が中心になり、目的が変わってしまいます。胸と背中をまんべんなく使うには、肘を軽く曲げた角度で固定しましょう。
腰を浮かさない
ダンベルを下ろすときに腰が反るケースです。肩の動きではなく腰の反りでダンベルを動かしてしまうため、狙った筋肉に刺激が入りにくくなります。少し可動域は狭くなりますが、腰が浮く手前で切り返しましょう。
肘を開かない
ダンベルを下ろすときに肘が外に開くと、広背筋への刺激が小さくなります。肘を内側に絞ったまま、わきの下が伸びる感覚を意識して下ろしましょう。
重量・回数・セット数の目安
| 目的 | 重さの目安 | 回数 | セット数 | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| はじめて・フォーム習得 | 余裕をもって正しく動ける重さ | 8〜12回 | 1〜3セット | 1〜2分 |
| 筋肥大(ボディメイク) | 6〜12回で限界になる重さ | 6〜12回 | 3〜6セット | 1〜2分 |
| 筋力アップ(競技力) | 1〜6回で限界になる重さ | 1〜6回 | 3〜5セット | 3〜5分 |
| 筋持久力 | 最大の40〜60% | 15回以上 | 2〜3セット | 90秒未満 |
上の目安は、アメリカスポーツ医学会(ACSM)の筋力トレーニングに関する公式見解をもとにしています。プルオーバーは肩を大きく動かす種目なので、高重量よりも中〜軽重量でフォームを優先しましょう。
よくある質問
Q. ダンベルプルオーバーは胸と背中どちらに効きますか?
両方に効きますが、研究では大胸筋(胸)の筋活動のほうが広背筋より大きいことが示されています。胸を大きく伸ばす補助種目として取り入れ、背中を重点的に鍛えたい場合はローイングやラットプルダウンと組み合わせましょう。
Q. 背中(広背筋)に効かせるにはどうすればいいですか?
肘を内側に絞り、わきの下が伸びるところまで下ろしてから、肘で弧を描くように戻しましょう。肘を伸ばしたまま行うストレートアームプルオーバーや、ケーブルを使うプルオーバーは、広背筋を意識しやすくなります。
Q. ダンベルは何kgから始めればいいですか?
はじめての方は、女性で2〜5kg、男性で6〜10kg程度から始め、腰を反らさずに10回前後できる重さを選びましょう。重すぎると腰が反りやすくなり、肩を痛める原因にもなります。
Q. ベンチに横向きに寝る方法との違いは何ですか?
ベンチに対して体を横向きにし、肩だけをベンチに乗せる方法もあります。お尻を下げることで胸を大きく伸ばせる反面、腰が反りやすく姿勢の保持が難しくなります。はじめての方は、ベンチに縦に寝て体を支える方法がおすすめです。
Q. 肩が痛いときはどうすればいいですか?
下ろす深さを浅くし、軽い重量で行ってください。それでも痛む場合は中止しましょう。肩を大きく上げる動作で痛みが出る方は、無理にプルオーバーを行う必要はありません。
Q. 何回・何セットやればいいですか?
はじめての方は8〜12回を2〜3セットが目安です。胸や背中を大きくしたい場合は、6〜12回で限界になる重さで3セット以上行いましょう。
本記事のまとめ
- ダンベルプルオーバーは、胸と背中の両方を使う種目
- 研究では、大胸筋の筋活動のほうが広背筋より大きく、胸寄りの種目
- 肘は軽く曲げた角度で固定し、肩だけを動かす
- 腰が反る手前で切り返し、肘は内側に絞る
- 背中を重点的に鍛えるなら、ローイングなどと組み合わせる
- Marchetti PH, Uchida MC. Effects of the pullover exercise on the pectoralis major and latissimus dorsi muscles as evaluated by EMG. J Appl Biomech. 2011;27(4):380-4. doi:10.1123/jab.27.4.380
- Di Fonza D, Di Claudio G, Colantuono G, et al. Electromyographic analysis of latissimus dorsi activation during common resistance training exercises: a narrative review. J Funct Morphol Kinesiol. 2026;11(3):315. doi:10.3390/jfmk11030315
- American College of Sports Medicine. Progression models in resistance training for healthy adults. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(3):687-708. doi:10.1249/MSS.0b013e3181915670

